はしがき
基礎研究は基礎研究者の内部情報(プライバシー)として管理される、その体制が未整備なら非因果的過程は秘密にされる、そういう立場に立つなら、非因果的過程の存在を示唆する(ゲーデル、ノイマン、チューリングらの)基礎研究は秘密にされるべきであった。それが秘密にされなかったことは、左派と右派のバランスを壊してファシズムを招いたが、戦後、一転してそれがタブーにされたことは、左派と右派のバランスの回復に必要なことであった。
基礎研究が基礎研究者の内部情報(匿名情報)にならないとき(公開情報になるとき)、あるいは基礎研究者に名誉(脳内麻薬)が与えられるとき、名誉(脳内麻薬)により自我が委縮した基礎研究者に侵入する王が生じる。このような社会(保守主義社会)では、王の資産のみを増やすために基礎研究が応用される。一方、経済全体の成長のために基礎研究が応用される場合が資本主義社会である。資本主義社会ではすべての人間はプライバシーを保って(名誉を気にせずに)自由に基礎研究を行う権利を持つ。
非物質宇宙は非因果的に物質宇宙と相互作用する宇宙である。宗教は、非物質宇宙をタブーとする一方で、そのタブーを犯すものを非物質宇宙の排他的公開に結びつける。このタブーは象徴と暗号のかたちで管理されるが、この暗号自体は公開情報に対応し、王の宮殿(保守主義社会の内部情報)の偽装(内部情報の暴露)として表れる。非物質宇宙を象徴と暗号のかたちで密かに継承する体制は、非物質宇宙の他言を抑止する機能を持つ。万有引力定数の上3桁の数字が、近似的に666であることは、その機能の1つである。また、本書の最後で紹介する甲虫の存在は、その体制が連綿とつづいてきたことの証である。
資本主義社会では、基礎研究と個人株主は同じ立場にあるので、個人株主は匿名である。宗教が黙示する知的的所有権(非物質宇宙の排他的公開)はそれを最初に明示したも(144thousandshares)が所有するが、その株主のプライバシーは守られる。
目次
1章 プライバシーと単一社会制度
1.1 プライバシーと単一社会制度
1.2 背景宇宙と細胞宇宙
2章 デイトリッパーとワンウェイ
2.1 デイトリッパーと物理学
2.2 ワンウェイとサンデー
3章 株価指数と景気循環
3.1 スターと育成
3.2 バブルとボトム
4章 記紀とヘルタースケルター
4.1 現実型と架空型
4.2 古事記と日本書紀
5章 エドガー・アラン・ポーと万有引力定数
5.1 文学と建築
5.2 万有引力定数と細胞
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