光媒質とディラックの海

 マクスウェル方程式の電磁双対性は、地平線の外部(光媒質の内部)にモノポール(質量が0のボース粒子)を生む。ディラックの海はクーロン力と電荷に対応し、光媒質は重力とモノポールに対応するが、電荷は光と地平線の内部で因果的に関係し、モノポールは光と地平線上で因果的に関係する。(地平線の内外は地平線上に限定して因果関係を持つ。)光媒質は光速度不変の原理により運動量がつねに0なので、光媒質の変動のかわりにモノポールの流れが光媒質の内部に生じる。(ただし、光とモノポールは地平線上で温度を共有する。)また、光媒質は運動量がつねに0なので、光は光媒質をこじあけて光媒質の内部に侵入することはできない。したがって、光媒質の内部は地平線の外部である。(一方、対生成はディラックの海のこじあけである。)なお、光媒質の内部と外部およびその境界の3者は空間内の1点を共有する。
 ディラックの海は運動量の量子数が固有状態を決めるが、光媒質は位置が固有状態を決める。すなわち、光媒質の体積 V を細かく分割して、その各々に運動量が0の粒子を格納する。たとえば、 V を2分割する場合、その各々に格納する運動量が0の粒子の波動関数を ψ 1 ψ 2 とすると、全体の波動関数は ψ = 1 2 ψ 1 + 1 2 ψ 2 である。ただし、 ψ 1 ψ 2 は重ならないので、その積は任意の点で0である。これは ψ 1 ψ 2 の直交を意味するので、 ψ 1 ψ 2 はともに ψ の固有状態である。(この ψ 1 ψ 2 はデルタ関数で近似できる。)一般に、 V n 分割する場合、その各々に格納する運動量が0の粒子の波動関数は、全体の波動関数 ψ の固有状態である。光媒質では、 n 分割された V の各々に静止負エネルギー陽子が格納されるが、その場合、単位体積あたりの n 6.9939 × 10 39 である。
 一方、ディラックの海も固有状態に負エネルギー粒子が入るが、ディラックの海では運動量の量子数が固有状態を決める。このディラックの海は絶対零度でないかぎり励起状態(正エネルギー状態)に移る粒子の数だけ粒子を失う。すなわち、フェルミ分布を f ( E ) とし、状態密度を D ( E ) とすると、 - m c 2 - ( 1 - f ( E ) ) D ( E ) d E = m c 2 f ( E ) D ( E ) d E が成り立つ。ただし、フェルミ分布の化学ポテンシャルは0である。すなわち、 f ( E ) = 1 e E k T + 1 である。また、状態密度は D ( E ) = V E π 2 3 c 3 ( E 2 - m 2 c 4 ) 1 2 である。
 クーロンポテンシャルは単位体積内で増殖するディラックの海(負の無限大エネルギー粒子)の観測から生まれ、重力ポテンシャルは増殖する光媒質の観測から生まれる。(クーロンポテンシャルは単位体積内で生ずるので単位体積内で完結する系(ローレンツ変換に対して不変な系)だが、重力ポテンシャルは光媒質の増殖(空間の増殖)から生じるので単位体積内で完結しない系(一般座標変換に対して不変な系)である。)
 負エネルギー粒子の増殖は非保存則にしたがうが、正エネルギー粒子の生成は保存則にしたがう。すなわち、物質宇宙誕生時に生じる静止陽子と静止反陽子は一定密度の静止負エネルギー陽子(光媒質)とともに生じる。(もし陽子や反陽子がディラックの海とともに生じると、無限個の陽子と反陽子が生じてしまう。)
 フェルミ分布とちがいボース分布は化学ポテンシャルの値が(ボース分布を無限大にする)特異点であり、ボース粒子の質量と化学ポテンシャルが(光子のように)0のときにかぎり特異点が解消される。(化学ポテンシャルと同じエネルギーのボース粒子の数は無限大だが、ボース粒子の質量が0なら、その無限個のボース粒子の存在を消すことができる。なお、化学ポテンシャルが正の静止エネルギーと負の静止エネルギーのあいだにあるとき、ボース粒子は質量保存則を破って化学ポテンシャルと同じエネルギーを持とうとする。このとき、ボース粒子は U ( 1 ) ゲージ対称性を失う。)
 ダークマターの実体は光媒質の内部にあるダークマターボース分布だが、このボース分布の質量と化学ポテンシャルは0である。(このときにかぎり、化学ポテンシャルのエネルギーに生じる無限個の粒子の影響を無視できる。)また、ダークマターボース分布の温度とダークエネルギーフェルミ分布の温度(物質宇宙誕生時の温度)は近似的に等しい。(物質宇宙誕生時に、ダークマターボース分布とダークエネルギーフェルミ分布は地平線の内部で熱平衡になるが、その後、両者は光媒質の内部に移動する。一般に、種類が異なる光媒質の内部は因果関係を持たないので、ダークマターボース分布はダークエネルギーフェルミ分布と別の温度を持つことができる。(両者の温度の違いは、長さの単位を変化させて、スケール因子の変化とハッブル緊張を生む。)また、ダークマターは波動関数すなわち U ( 1 ) ゲージ対称性を持たないので、質量の一部を運動エネルギーに変えることができるが、ダークマターの質量の変化はダークマターボース分布の温度を変化させる。しかし、ダークマターが(等密度時以前から)非相対論的であるとき銀河系や太陽系が生じるので、人間原理により、ダークマターボース分布の温度とダークエネルギーフェルミ分布の温度は近似的に等しい。)また、ダークエネルギーは膨張するので、ダークマターを極限まで圧縮する。したがって、1個のダークマターに対応するボース粒子の数は1である。これらの条件から、ダークマターの半径 r D は、 V 0 f ( E ) D ( E ) d E = V ζ ( 3 ) π 2 ( k T 0 ) 3 ( c ) 3 = 1 より、近似的に r D = 2.4957 × 10 -14 m である。ただし、 T 0 = 1.1483 × 10 11 K は物質宇宙誕生時の温度であり、 V = 4 3 π r D 3 ζ ( 3 ) = 1.2020 である。また、 f ( E ) はダークマターボース分布 f ( E ) = 1 e E k T 0 - 1 であり、 D ( E ) は状態密度である。また、ダークマターの質量を m D とすると、近似的に m D c 2 = V 0 E f ( E ) D ( E ) d E = V π 2 30 ( k T 0 ) 4 ( c ) 3 が成り立つので、近似的に m D = π 4 30 ζ ( 3 ) k T 0 c 2 = 4.7650 × 10 -29 kg である。また、ダークマターの重力半径 r G は、 r G = 2G m D c 2 = 7.0769 × 10 -56 m だが、これはダークマターの半径 r D より小さいので、ダークマターはブラックホールにはならない。また、ダークマターのコンプトン波長 λ C λ C = h m D c より、 λ C r D = 60 ζ ( 3 ) π 3 ( 4 ζ ( 3 ) 3 π ) 1 3 = 1.8586 を満たすので、 λ C はダークマターの直径 2 r D より小さい。一般に、大きさと安定な質量を持つ粒子は、不確定性原理にもとづく運動量を持ち、それに対応する運動エネルギーは、ポテンシャル障壁(粒子の静止エネルギー)をこえない。これは、大きさと安定な質量を持つ粒子は、そのコンプトン波長より小さくなれないことを意味するが(コンプトン波長の条件)、ダークマターは(その直径を位置の不確定性とするなら)コンプトン波長の条件を満たす。
 なお、コンプトン波長の条件は、粒子の運動量の不確定性にもとづく運動エネルギー T が、相対論的には T = m c 2 ( 1 1 - β 2 - 1 ) β = Δ v c であることから導かれる。ただし、 Δ v は粒子の運動量の不確定性にもとづく速度である。位置 x と運動量 p x の不確定性原理は、 Δ x Δ p x h だが、 Δ p x の上限は Δ x の下限を与えるので、 Δ p x の上限にもとづく運動エネルギーは m c 2 に等しいという条件から、 Δ x の下限を求めることができる。この条件は、まず、 1 - β 2 = 1 4 β 2 = 3 4 という条件に置き換わる。次に、未知数を X として、 Δ p x の上限を Δ p x = m c X とすると、 Δ p x = m Δ v x 1 - β 2 より、 X = β x 1 - β 2 β x = Δ v x c である。 β 2 = β x 2 + β y 2 + β z 2 なので、 3 X 2 = β 2 1 - β 2 だ成り立つが、これに β 2 = 3 4 を代入して X を求めると、 X = 1 となるので、 Δ p x = m c である。 Δ x の下限と Δ p x の上限は、 Δ x Δ p x = h を満たすので、 Δ x の下限は、 Δ x = h m c を満たす。これはコンプトン波長の条件である。

公開日2025年03月21日
最終更新日2025年11月09日
144thousandshares株式会社
代表取締役 大安のぼる



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