ダークエネルギーと物質宇宙の誕生温度

 物質宇宙は3種類の地平線外部(ハッブル半径の外部、ブラックホールの内部、光媒質の内部)を持つが、地平線の内外は地平線上で因果的に相互作用をする。たとえば、ブラックホールの内部の微視的状態はブラックホールの表面上でブラックホールのエントロピーに変換される。(ブラックホールの表面には質量と温度があるが電荷がなく、ブラックホールの内部には質量およびそれと等価の電荷があるが温度がない。すなわち、ホーキング放射の逆過程がブラックホールの内部をBPS状態に保つ。)また、光媒質の内部を光速で移動するモノポールは光と地平線上で因果的に相互作用し、光媒質の内部にあるダークエネルギーフェルミ分布やダークマターボース分布は地平線上でダークエネルギーやダークマターと因果的に相互作用する。また、ハッブル半径の内外は地平線上で因果的に相互作用して温度などの情報を共有する。(この因果的相互作用は地平線問題を解決する。)
 物質宇宙の誕生温度 T 0 が粒子加速器が実現する温度よりはるかに低いとき、物質宇宙の歴史に位相欠陥が生じる余地はない。また、ダークマターの密度は T 0 の決定(物質宇宙誕生時のスケール因子の決定)に何ら関与しないが、それはダークマターとスケール因子のあいだの独立性(ダークマターの地平線内質量ゆらぎがスケール因子の影響を受けないこと)に変換されて観測される。(一般に、観測とは、観測対象Aの情報を取得し、非因果的変換をほどこしたのち、観測対象Bに挿入することであり、AとBが同じ宇宙の場合の観測はデイトリッパーである。)また、空間は非保存量の観測から生じるガウス分布(これは平行移動してもかたちを変えない)から生じるので、空間の曲率は0である。これらはインフレーションを不要にする。
 負エネルギー粒子は位置が決める固有状態に入る場合(光媒質)と運動量の量子数が決める固有状態に入る場合(ディラックの海)に分かれる。クーロンポテンシャルは単位体積内で増殖する負の無限大エネルギー粒子の観測から生まれ、重力ポテンシャルは増殖する光媒質の観測から生まれる。(クーロンポテンシャルは単位体積内で生ずるので単位体積内で完結する系(ローレンツ変換に対して不変な系)だが、重力ポテンシャルは光媒質の増殖(空間の増殖)から生じるので単位体積内で完結しない系(一般座標変換に対して不変な系)である。)
 負エネルギー粒子の増殖は非保存則にしたがうが、正エネルギー粒子の生成は保存則にしたがう。すなわち、物質宇宙誕生時に生じる静止陽子と静止反陽子は一定密度の静止負エネルギー陽子(光媒質)とともに生じる。(もし陽子や反陽子がディラックの海とともに生じると、無限個の陽子と反陽子が生じてしまう。)その後、静止陽子と静止反陽子が対消滅する過程でバリオン数生成とクォークの生成が生じ、それに加えて放射成分が生じるが、この放射成分の温度が T 0 である。(なお、バリオン数生成とダークマターの初期ゆらぎの生成は人間原理により生じる。)この T 0 は0ではないので、静止負エネルギー陽子の一部が励起して陽子と反陽子の対生成が生じる。しかし、この励起状態(ダークエネルギーフェルミ分布)は宇宙膨張の開始とともに光媒質の内部(地平線の外部)に入っていく。(そのため、ダークエネルギーの密度は宇宙の温度と無関係に一定である。)
 ダークエネルギーフェルミ分布は、静止負エネルギー陽子の状態数密度を n A 、励起状態にある陽子の数密度を n B 、陽子の質量を m として、 n A - n B n A = 1 e - m c 2 - μ k T0 + 1 である。(ただし、 n A はバリオン数生成に対応する静止負エネルギー陽子の数を含まない。)また、ビッグバン元素合成は確実に起きたので、 T 0 10 9 K より高温である。この温度の範囲は放射優勢期に対応するので、物質宇宙誕生時の放射成分のエネルギー密度 ρ r はダークエネルギーの密度 ρ Λ よりはるかに大きい。これは、物質宇宙誕生時に静止陽子と静止反陽子が励起状態の生成に比べて大量に対消滅したことを意味するので、 m c 2 k T 0 が成り立つ。すなわち、 T 0 10 13 K より低温であり、かつ n A n B が成り立つ。また、Planck 2018 results. VI. Cosmological parametersによると、現在の物質成分密度パラメータ Ω m 0 は、 Ω m 0 = 0.1424 h - 2 だが、現在に近い宇宙の測定(SH0ESプロジェクト)にもとづく無次元ハッブル定数 h は、 h = 0.73 なので、 Ω m 0 = 0.267 である。したがって、現在のダークエネルギー密度パラメータ Ω Λ 0 とダークエネルギーの密度 ρ Λ は、 Ω Λ 0 = 0.733 ρ Λ = 6.594 × 10 -10 J m -3 である。(ダークマターの質量の減少(ダークマターボース分布の温度の低下)による長さの非人為的単位の縮小はスケール因子を増やしてハッブル緊張を引き起こすので、本来のハッブル定数はスケール因子の影響が消える遠い未来においてはじめて測定される。この本来のハッブル定数は、スケール因子の影響が大きいCMBの測定(遠い過去の宇宙の測定)にもとづくハッブル定数より、スケール因子の影響が小さい現在に近い宇宙の測定(SH0ESプロジェクト)にもとづくハッブル定数に近い。このダークエネルギーの密度 ρ Λ は(SH0ESプロジェクトが決める)近似的なハッブル定数にもとづく暫定的な値である。)一方、 T 0 10 9 K なので、 n B < ρ Λ 2 m c 2 ( m k T 0 2 π 2 ) 3 2 が成り立つ。したがって、 n B ρ Λ は古典的理想気体の式で近似できる。すなわち、 n B = 2 ( m k T 0 2 π 2 ) 3 2 e - m c 2 - μ k T 0 ρ Λ 2 = n B ( m c 2 + 3 2 k T 0 ) が近似的に成り立つ。また、静止陽子と静止反陽子の対消滅1個につき静止負エネルギー陽子3個が対応するので、放射成分のエネルギー密度 ρ r は、近似的に ρ r = 2 3 n A m c 2 を満たす。ただし、 n A n B を使った。また、有効自由度を g として、 ρ r = g π 2 30 ( k T 0 ) 4 ( c ) 3 である。
 独立な式は4個なので、それらから3個の未知数 n A n B μ を消去して、温度 T 0 のみを含む式をつくると、 f ( T 0 ) = log C ( A - B ) B 2 - 2 m c 2 k T 0 = 0 を得る。ただし、 A = 3 ρ r 2 m c 2 B = ρ Λ 2 ( m c 2 + 3 2 k T 0 ) C = 2 ( m k T 0 2 π 2 ) 3 2 である。この f ( T 0 ) は単調増加関数なので、 T 0 が一意的に決まる。有効自由度 g は3.363から100の範囲にあるが、それに対応する T 0 の範囲は、 1.1354 × 10 11 K T 0 1.1553 × 10 11 K である。この温度の範囲に対応する g は10.75であり、その場合の解は、 T 0 = 1.1484 × 10 11 K である。
 近似を用いる場合に成り立つ解の一意性が、近似を用いない場合にも成り立つと考えると、ダークエネルギーフェルミ分布を f E = 1 e E - μ k T0 + 1 として、次の4個の式 n A - n B n A = f - m c 2 n B = m c 2 f ( E ) D ( E ) d E ρ Λ 2 = m c 2 E f ( E ) D ( E ) d E ρ r = 2 3 n A - n B m c 2 = g π 2 30 ( k T 0 ) 4 ( c ) 3 から数値的に4個の未知数を求めることもできる。ただし、 D ( E ) = E π 2 ( c ) 3 ( E 2 - m 2 c 4 ) 1 2 は状態密度である。この方法による解は、 g を10.75として、 T 0 = 1.1483 × 10 11 K である。また、ほかの未知数の値は次のとおりである。 n A = 7.0555 × 10 39 m -3 n B = 2.1586 m -3 μ = -6.0777 × 10 -12 J n A の値より、静止負エネルギー陽子1個あたりに分配される体積の1辺の長さは陽子の直径の約30倍である。
 背景宇宙は物理宇宙誕生時の情報を(検証に備えて)運用する。すなわち、背景宇宙は、細胞物質宇宙(これは物質宇宙の光媒質の内部にある)を通じて細胞宇宙に T 0 の情報を送る。(物質宇宙のダークエネルギーフェルミ分布は物質宇宙のダークエネルギーに対応するので細胞物質宇宙に情報を送れないが、背景宇宙のダークエネルギーフェルミ分布(この温度は T 0 である)は細胞物質宇宙に情報を送れる。)細胞物質宇宙は粒子数が1の理想気体であり、その状態方程式は、細胞の最大圧力(好圧性細菌が存在できる最大圧力 1400 atm 程度)を P とし、細胞の最小体積(直径が 0.27 μm のマイコプラズマ・ジェニタリウムの体積)を V として、 P V = k T 0 である。細胞宇宙はこの k T 0 の情報を取得して、細胞宇宙の最大 k T に変換する。(これらの情報の送受信はすべて非因果的である。)
 ある細胞宇宙の最大 k T におけるプランク分布は、その細胞宇宙を持つ生物がつくる全タンパク質の質量分布に非因果的に変換され、それがその細胞宇宙の光速度を決める。また、あるウイルスCDSに対応する細胞宇宙電子の 1 s 2 p 遷移はそのウイルスCDSがつくる最大タンパク質の質量に非因果的に変換され、それがそのウイルスCDSに対応する細胞宇宙の微細構造定数を決める。非ウイルス細胞宇宙とウイルス細胞宇宙は、光速度の平均値を共有すると考えると、細胞宇宙の電荷の2乗とプランク定数の比が決まる。また、最小ウイルスのCDSに対応する細胞宇宙電子のボーア半径の2倍( 2 p 軌道を考えるので因子2が生じる)は物質宇宙のボーア半径に等しいという条件から細胞宇宙の電荷とプランク定数の比が決まる。これらから細胞宇宙の基礎定数がすべて決まるが、その基礎定数の6通りの検証もう1個の検証 T 0 の検証でもある。

公開日2024年12月20日
最終更新日2025年10月30日
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代表取締役 大安のぼる



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